絵を添削してもらった
響け!ユーフォニアムに登場するキャラクターの誕生日(1/7)に合わせてイラストを描きました。
描いている途中で創作+機械学習Advent Calendarで紹介されていた添削サービスの存在を思い出したので、ついでに添削をお願いしてみました。以下その記録です。
メイキング
響け! ユーフォニアムの作中に川沿いのベンチがたびたび登場します。このベンチは宇治川の河川敷に設置されている実在のベンチをモデルにしていて、ファンの間では久美子ベンチとして親しまれています。私も実際に見に行ったことがあります。
ユーフォでよく出てくるベンチ pic.twitter.com/xYkx79N3ud
— きばん卿 (@kivantium) 2018年10月7日
奏がこのベンチに座るシーンはアニメでは描写されていないと記憶しているので、その様子を描いてみようと思いました。 自分に画力が足りないことは分かっているのでとりあえず完成させることを目指してズルを重ねました。
久美子ベンチの作中での描写は真正面からの構図が多いのですが、正面顔を描くのが苦手な自覚があるので顔が斜めになるように斜めからの構図を選択しました。この発想がまずズルいです。
「久美子ベンチ」で検索して斜めから撮影している写真を探したら聖地巡礼の記録ブログにちょうどいい写真がありました。
この写真をiPadで表示してその上に紙を置き、だいたいの形をなぞりました。第二のズルです。 板などを適当に描いてから適当にキャラクターを置いて下書きとし、iPadのカメラで写真を撮ってクリスタに取り込みました。1月なので冬服にしました。
この時点では写真の影響で左からの構図でしたが、1期1話の久美子がベンチの上で驚くシーン(15:08あたり)が印象的だったのでそのシーンに合わせて左右反転して右からの構図にしました。 最初は写真の上に線画レイヤーを置いてフリーハンドでなぞり書きしていたのですが、線がまっすぐ引けなかったのでパース定規に頼ることにしました。これはクリスタの機能なのでズルじゃないと思います。
ベンチの板の横線を定規で引くことだけを考えていたため一点透視図法を選びました。定規のラインが下書きに合うようにアイレベルと消失点を調整してから、ベンチのラインをパース定規で引きました。横線以外は下書きに合わせてフリーハンドで描いてベンチの線画を終えました。
次に人物を描きます。誓いのフィナーレ終盤のバスのシーン(「悔しくて死にそうです!」の直前)で奏が右から写っていたのでそれを参考にして描きました。ただし、このシーンでは手足が隠れたり画面外に出たりしているので参考にすることができません。手足の描写を省略してバストアップの構図にすることも考えましたが、そうすると顔が大きくなるのでボロが出そうです。どうせ添削してもらうなら全身を描いたほうが勉強になると思ったのもあって足先まで描くことにしました。pixivで探すと近い構図のイラストがあったのでそれらを参考にしました。
参考にしたバスのシーンではコンクールに負けた直後で機嫌が悪かったので誕生日イラストにふさわしくない顔をしていました。画像を探したら去年の公式の誕生日イラストがポーズ的にもちょうどよかったのでこれを使いました。
🎵HAPPY BIRTHDAY🎵
— アニメ「響け!ユーフォニアム」公式 (@anime_eupho) 2021年1月7日
本日1月7日は、
北宇治高校吹奏楽部1年生 ユーフォニアム担当✨
久石 奏の誕生日です🎂🎉
おめでとうございます🎺#anime_eupho pic.twitter.com/xqPi9qEEPY
これを見ながらラフを描いたのですが、どうしても似なかったので最終手段として顔画像をイラストに貼り付けて目・口・鼻の位置を修正しました。これは言い逃れできないズルです。
このラフから線画を書き起こしました。
線画が完成したら残りは色を塗るだけです。お手本からスポイトで色を吸いつつ同じように下塗りをしました。
乗算レイヤーや加算(発光)レイヤーを使いながらお手本になるべく近くなるように陰影やハイライトを入れました。手や足は参考にできるものがなかったので自力で塗りました。そのため下に行くにつれてどんどんクオリティが下がっています。
ここからさらに久美子ベンチであることが分かるような背景を入れたかったのですが、自分の現在の画力では描けば描くほど絵が汚れていくだけだったので結局全て消しました。しかし、白だけだと寂しかったので作中の演出としてよく登場する水色の枠を入れて、それを完成品としました。出来上がったのが冒頭に貼ったイラストです。
添削をお願いする
創作+機械学習Advent Calendarに投稿されていたワカドリさんの記事でsessaというサービスが紹介されていました。添削されたところで自分には再現できなくて意味がないのではないかと思っていましたが、物は試しで一度頼んでみることにしました。
添削者の募集
sessaの添削依頼には添削者を指定して依頼するモードと、添削内容を公開して添削者を募集するモードがあります。どの添削者が良いか分からなかったので募集モードを選びました。先生一覧を見ると相場は一回3000円くらいだったので3000円で募集しました。(決済画面になってから消費税が別途必要だと言われたのは体験が悪かったです)sessaのアカウントはTwitterと連携しているのですが、添削依頼は匿名で行われる仕組みになっているらしく、依頼中で明示しない限り依頼者のアカウントは分からないようです。また、添削者には守秘義務が課せられています。
依頼文は以下のように書きました。
響け!ユーフォニアムの久石奏が作中に登場するベンチ(通称久美子ベンチ)に座っている絵を描きました。顔はアニメの模写で、身体とベンチは複数の写真を参考にしました。
全体的に見てほしいですが、特に添削してほしいのは以下の4点です。
・スカートが身体に張り付いていて固く見えます。どうしたら柔らかい印象を出せるでしょうか。
・手と足は特に改善する必要があると思います。どのように修正すれば良いでしょうか。この姿勢で座っている参考資料を見つけるのに苦労したのでポーズ集等の良い資料をご存知でしたら合わせて知りたいです。
・陰影の入れ方がよく分かりませんでした。特に足と靴がうまく描けなかったのでほとんどベタ塗りのままになっています。
・背景がうまく描けなかったので白バックと図形で誤魔化しています。このベンチは河川敷に設置されていて、左側に木が生えており後ろに坂があるのが特徴です(「久美子ベンチ」で検索すると画像が出てきます)。この特徴が伝わるような簡単な描き方があれば知りたいです。
以上よろしくお願いします。
書き上がった直後に募集して一晩待っていたら翌朝には9人からの応募がありました。その中から応募コメントに具体的なことを描いてくれていた@reihou19さんを選んで依頼しました。添削実績が0件でどのような添削をする方なのか分からない点は不安でしたが、西宮神社を走るスーパークリークのイラストをTLで見かけたことがあったのが後押しになりました。
添削結果はsessaのサイトで公開されています(公開を許可しないこともできます)。ちなみに添削に出したイラストは冒頭に貼ったものより前のバージョンなのでベンチの上に影がなかったり青枠の位置がズレていたりと少し相違があります。
sessaでは添削結果の著作権は依頼者のものになるので、添削結果を自由に使うことができます。せっかくなので1枚ずつ見ていきます。
背景の「簡単な書き方」を聞いたので適当に色を塗っただけの背景になることを想定していたのですが、想定以上のクオリティの添削結果が帰ってきました。3000円でここまでやってもらって良いんだろうか……。
ズルしたところがしっかり見抜かれていて大変心苦しくなります。
- 「ちゃんと京アニ風の顔立ちになっています」→スクショを下に重ねて位置調整したからです、ごめんなさい……
- 「下に行くにつれて自信が無い感じになっています」→下に行くにつれて参考資料がなくなっていったからです……
今回の添削で一番ドキッとしたのはこの3枚目です。
- 「かなり高いところから、見下ろしていることになります」→画像にはありませんが、添削本文に「ざっくりですが、成人男性の目の位置くらいになっています。」という記述もありました。今回参考にした久美子ベンチの画像の撮影者を調べたらまさに成人男性でした。イラストだけからここまでズルが見抜かれてしまうものなんですね……
- 「水平線が傾いている」→ベンチを描く時に一点透視図法のパース定規を使ったため、板の短辺のパースは一切考慮していませんでした。これもまたイラストを見るだけで見抜かれてしまうようです。
- 「3分割法」→全く意識していなかったのでいつも真ん中に主題を置いていました。そういえば写真のテクニックでそんな話を聞いたことがあるような気も……
- 「ミディアムショット」→顔を大きく描くとボロが出ると思った逃げの姿勢が見抜かれています。
- 「見て描いたとはいえ顔めちゃくちゃきれいですね」→ごめんなさい……。とはいえ塗りはスポイトで吸ったくらいで残りは真面目にやったのでそこだけは良いのかも……
- 「肘から先は、こちら側に向きます」→長袖だったので腕を描く時に肘の存在を意識していなかったのが見抜かれています
- 「奏は久美子よりも胸が大きい設定だったと思う」→そんなことないだろうと思って検索したら「奏の胸は結構大きくて胸のことだけ久美子は奏を羨ましがってる」と書いてあるまとめブログが出てきたのでそういう設定らしいです。方言を敬遠して原作を読んでないにわかであることまで見抜かれました
- ポーズ集の紹介はありがたいです(だらっとしたポーズカタログ3 ─なかよし女子高生の放課後)
- 「光の方向は午後なので背中側からです」→実在の場所だから方角を考えるという発想は全くありませんでした。画面奥側に窓があるバスのシーンを見て奥に光源を設定した安易さが指摘されたようで耳が痛い……
- 「右側は外側にシワシワしています」→参考にしたシーンを見返すと確かに反対側にシワが入っていました。これはちゃんと見ないとダメでした。
- 木→この説明を見ても描ける気がしませんが、これはそのうちできるようにならないといけないんだろう……
- 石→写真を使うなんて邪道だと思っていましたが、この結果を見せられるとやり方を覚えるほうが良さそうです。どうせここまでズルを重ねているわけなので使えるものは徹底的に使うべきです
- 靴→頑張って書き直します
- 「写真加工で作る風景イラスト」→出版されたのは知っていたものの写真加工はズルだと思って全く見ていなかった本。この技術は習得したほうがよさそう。
- 「キャラ背景の描き方教室」→立ち読みしたときにレベルが高すぎて参考にならないと思って買っていなかった本。付録のペンがすごいという話をたびたび聞くので購入を検討してもよさそう。
- 「背景画の描き方」→知らなかった本。かも仮面先生のイラストはたびたび見かけるので興味あります。
5枚目で紹介されてたポーズ集はこれです。
せっかくなので最後に添削結果を大きく貼っておきます
添削してくれた方はユーフォニアム好きとのことで、非常に熱のこもった添削をしていただけました。ありがとうございました。
添削結果を参考に2022年はもっと練習したいと思います。うまくなりたい。
1/9 編集内容
- 色塗り工程を追記
- キャラクター名で検索したときに自分のイラストが上位に出てくると体験が悪いのでフルネーム呼びをなるべく避けた