kivantium活動日記

プログラムを使っていろいろやります

御社は君を必要とせず!

周りの人が大学生活を振り返る雰囲気になっていたので振り返っていこうと思います。

というわけで振り返り第一弾として、大学時代に受け取ったお祈りメールを思い出していきます。

IT企業P社のアルバイト(2014年12月・B1)

高校生の頃に、高校OBだった創業者が当時僕が部長をしていた部活で講演会をしたことがあり、その中で「大学生になったら是非アルバイトに来て欲しい」と言っていたので応募しました。創業者とのコネがあるとはいえ、何も実力を示せるものがない状態で応募しても採用してくれないだろうと思って、実力を示すために書いた記事が「ご注文は機械学習ですか?」でした。
kivantium.hateblo.jp

この記事が予想以上にバズったのでこれはもう受かっただろうと思って舐めた態度で面接に行ったらあえなく落とされました。このときのお祈りメールは以下の通りです。

XXXXさま

お世話になっております。
XXXX株式会社採用担当です。
先日は弊社選考にお越しいただき、ありがとうございました。

検討の結果、誠に残念ながら貴殿の採用を見送らせていただくこととなりました。
お時間を頂戴しておきながら、このような結果になりましたことを
深くお詫び申し上げます。

末筆ではありますが、ご応募頂きましたことを重ねてお礼申し上げるとともに、
益々のご発展をお祈り申し上げます。

受けに行った当時は創業者とのコネがあるような気がしていましたが、よく考えれば私は講演会参加者の一人にすぎなかったので認識されていたはずがありませんし、採用面接にその創業者は来なかったのでコネが通じる余地はありませんでした。また、当時はまだ機械学習がブームになっていなかったのでその会社に機械学習エンジニアは必要なかったでしょうし、スキルのミスマッチで落とされるのも当然だなと今となっては思います。それでも、これが人生初めてのお祈りだったのでかなり腹が立ってしばらくはその会社のサービスを一切使わないようにしていました。

お祈りから半年後、「ご注文は機械学習ですか?」を見た別の会社の人が知り合いづてに声を掛けてくれて、そこで機械学習リサーチャーの真似事のような仕事をさせてもらえることになりました。また、その記事をきっかけに機械学習に興味を持って機械学習の研究を始めたと言っている人も何人かいたので、当初の目的とは違う方向ではありましたが記事を書いた意味はあったようです。しばらくその会社で働いたあとはアルバイトをやめて学業に専念していたので就職関係のお祈りは今のところこれだけです。

論文誌Jへの投稿(2018年5月・M1)

卒業論文を英語にして投稿した論文です。セカンドオーサーとして論文を投稿した経験はありましたが、ファーストオーサーとして投稿するのはこれが初めてでした。2018年3月28日に投稿して、査読結果が5月3日に返ってきました。(査読の速さを売りにしている雑誌なのでこれはだいぶ早いみたいです)

Dear XXXX,

Thank you for considering XXXX.
Peer review of your manuscript is now complete and, in the light of 
the reports, and my own assessment as Editor, I regret to inform you
that your manuscript cannot be accepted for publication in XXXX.

Please find the reviewers' reports at the end of this email. Please
also take a moment to check our website at XXXX
for any additional comments that were saved as attachments.

I wish you every success with your research and hope that you will
consider us again in the future.

Best wishes,

XXXX

この後に査読者からの辛辣なコメントが続いたのですが、特にReviewer 3からのコメントにあった

(手法名) is a poor reimplementation of existing approaches.

という一文は強く印象に残っています。

論文誌Bへの投稿(2018年6月・M1)

ひどい目にあった論文でしたが、査読者が自分たちの主張を理解していないように思えたので、説明を少しだけ追加した原稿を分野の違う論文誌に投稿しました。6月13日に投稿して6月25日に返事が来ました。

Dear XXXX,

Thank you for submitting your manuscript, "XXXX" to XXXX.

I have assessed your manuscript and regret to inform you that it
cannot be considered for peer-review in its current form. Please find
my comments at the end of this email.

(中略)

I wish you every success with your research and hope that you will
consider us again in the future.

Best wishes,

XXXX

添付されていたコメントによると、Editorがたまたま前のジャーナルでの査読結果を知っていたらしく、新たな実験結果もない原稿だったから査読に回さずEditorの判断でRejectしたとのことでした。(原文: "I am troubled by the authors’ decision to totally ignore these comments and simply resubmit their flawed paper to another journal.")分野違いのジャーナルに出したはずなのにどうして査読結果を知っているんだろうと思いながらも、言っていることは正しいので、実験を追加した原稿をさらに別のジャーナルに送ってそこで供養しました。

論文誌Jへの投稿(2019年6月・M2)

M1のときの研究成果を、卒論を落とされたのと同じジャーナルに投稿しました。2019年3月30日に投稿して査読結果が6月8日に返ってきました。

Dear XXXX,

Your manuscript "XXXX" has been assessed by our reviewers.
Based on these reports, and my own assessment as Editor, 
I am pleased to inform you that it is potentially acceptable for 
publication in XXXX, once you have carried out some essential
revisions suggested by our reviewers.

(中略)

We look forward to receiving your revised manuscript soon.

Best wishes,

XXXX

少しだけ直せばacceptするという判断でした。修正期限を7月8日に設定されたので、急いで査読者に指摘された追加実験をして送りかえしたら無事acceptされました。(これがお祈りに入るのか微妙だったのですが、結果的に直さないといけなかったので入れておきます)

IT企業F社奨学金(2019年1月・M1)

IT企業F社が情報科学を学んでいる学生に奨学金を出しているとラボ同期が教えてくれたので応募しました。書類審査と一次面接(面接官はエンジニア)を無事突破した後、人事担当の人と最終面接をしました。前年度に奨学金を受け取っていた同期に最終面接の雰囲気を聞いたらただ雑談しただけだったみたいなことを言われたので、エンジニア向けの研究紹介スライドをそのまま最終面接に持っていきました。

最終面接では最初にスライドで一通り研究紹介をしたのですが、話し終わったあとに「ではまず自己紹介をお願いします」と言われました。所属と研究内容を一通り喋った後にこれ以上何を自己紹介すればいいか分からなかったので「いま自己紹介をしたつもりなんですが、他に何を話せばいいですか?私について何を知りたいですか?」と聞き返したところ、みるみる人事の人の顔が曇っていきました。その後も全く技術の話をしない人事担当と噛み合わない会話を続けていたら面接は終わりました。1月9日に面接を受けて1月30日に結果通知が来ました。

XXXX様

いつもお世話になっております。
株式会社XXXXの奨学金担当です。

先日は弊社奨学金制度最終面接にお越しいただき誠にありがとうございました。

頂いた情報と面接をもとに社内で慎重に検討いたしました結果、
誠に残念ですが、2019年度奨学金生としての採択を
見送らせていただくこととなりました。

ご希望に添いかねる結果となってしまいましたが、
事情をご賢察の上、あしからずご了承くださいますよう
何卒お願い申し上げます。

なお、選考結果に関するご質問にはお答え出来かねますので、ご了承下さい。

しかしながら、XXXX様の優秀な技術力に対する評価は非常に高く、
ぜひ弊社のインターンシップへの参加を検討してほしいと推薦がございました。
是非とも前向きにご検討頂けますと幸いです。

どうぞ宜しくお願い致します。

インターンシップには参加しませんでした。

某財団海外留学奨学金(2019年11月・M2)

奨学金を持っていると海外大の受験に有利だと聞いていたので応募しました。応募した海外留学奨学金はここだけです。

履歴書や研究計画、推薦状などを送ったところ書類審査を通過したのですが、第一志望校しか書いていなかったので「アメリカのトップ大学院を複数受験するようにしたほうがよいので面接までに考えておくように」のようなコメントがついていました。調べてみましたが他に行きたいところがなかったので、面接のときに「調べてみたがやっぱり最初に書いた学校の志望度が一番高い」と正直に申告したらいい顔はされませんでした。その他にも「その研究テーマを選んだ理由は?」と聞かれて「小さい頃から環境問題に興味があって〜」と答えようとしたら「小さい頃の話とかいらないので。大学の先生に言われてやったんですか?」みたいに敵対的な態度で対応されたのでそれ以降こちらも敵対的な態度になっていたような気がします。(純粋に業績が足りなかったのかもしれませんがそれは分かりません)

XXXX 様

このたびは当財団の2020年度XXXX Scholarship(大学院留学)に
ご応募いただきありがとうございました。

選考委員会による選考の結果、誠に残念ではございますが、
今回は採択を見送らせて頂くことになりました。

せっかくご応募いただいたにもかかわらずこのような結果になり
申し訳ございませんが、あしからずご了承のほどお願い申し上げます。

XXXX

祈ることすらしてもらえませんでした。

L研究所サマースクール(2020年2月・M2)

量子コンピューターに興味があったのでアメリカのL研究所の量子コンピューターサマースクールに申し込みました。線形代数量子力学の経験と量子コンピューターでやりたいことを書くエッセイの提出を求められたので、「線形代数は学部のときに授業で習った。量子力学は授業は履修しなかったが教科書を自分で読んだ」「量子コンピューターで巨大分子の第一原理計算をしたい」みたいなことを書いて出しました。1月12日に提出して2月13日に結果が届きました。

Dear XXXX,

We would like to thank you for taking the time to consider XXXX Summer School 
for your summer internship this year. We appreciate there are many internship 
opportunities for students with your notable expertise. This year we experienced
an overwhelming interest in the XXXX Summer School and we were faced with
the challenge awarding fellowships to only a handful of applicants; less than 5%. 
Though you had a strong application, we regret to inform you that we are unable
to accept it for the 2020 XXXX Summer School Fellowship program.

Given the strength of your profile, we encourage your application to the next 
XXXX Summer School and also recomend that you consider other opportunities at
XXXX Laboratory, which are listed in the jobs database at XXXX. Additionally, we 
hope it will not be an imposition if we reach out to you in the future about new
opportunities that are well aligned with your expertise.


Thank you,
XXXX Laboratory

夏休みの予定はまだ決まっていません。


というわけで、大学時代に受け取ったお祈りメールを振り返ってみました。お祈りされるのはつらいですが、お祈り覚悟で応募を続けなければどこにも採用されないので今後もお祈りされつづけていこうと思います。

この記事のタイトルは「ご冗談でしょう、ファインマンさん」に収録されている「国家は君を必要とせず!」から取りました。